審査総評審査員香川県美術家協会 名誉会長小 森 秀 雲 先生審査員読売書法会 理事上 原 華 園 先生 去る9月18日、第62回のJA共済全国小・中学生書道コンクール香川県予選の審査を行いました。 昨年まで共に審査に携わり、お互いの意見を出し合って優劣を決定していた冨村 華峰先生が急逝され、悲しみに沈んでいたところ、今回は、冨村先生のご親友の上原 華園先生が審査に加わってくださり、スムーズで公平な審査が実施されたことで、ほっとしています。 今年も、県下の各学校から3,998点の応募作品が集まりました。その審査を上原先生と2人で実施しました。 1点1点の作品に目を通し、じっくりと審査をしましたが、どの作品も、各学校の代表作品の誇りを持ち、胸を張って見えます。 第1次審査では、各学年毎に審査をし、その中の約1割程度の優秀作品を選び出しました。第1次審査で選ばれた力作は、今度は、全作品を展示して優劣を決める第2次審査が待っています。 第2次審査では、クリップで展示されている作品の中から、特に目立って良いと評価される作品を何点か選び出し、慎重に作品を何回も何回も移動させ順位を決める作業に移ります。このようなコンクールの審査では、この順位を決める瞬間が、最も神経をすり減らし、骨の折れる時でしょう。 どの作品も、「私のこの力作を見て欲しい。」と自信に満ち、胸を張って迫ってきます。 審査で最も苦しむこの作業はどんな点を見るかというポイントを書いてみましょう。 1.半紙全体に、上手く収めているか。 2.字形、用筆が正しいか。 3.こどもらしい、若さと元気があるか。 以上の3点は、ひとつひとつ切り離して審査するものではなく、常に総合された評価になります。 私は、このような書道のコンクールの審査を40年以上も続けてきましたが、毎回苦しむのは、この順位をつける瞬間です。今回のコンクールの作品は、猛暑の中、汗をふきふき紙に向かったこども達の姿が目に浮かんできました。どの作品も「しっかり見なければ」、「正しく評価しなければ」と必死に審査を続けました。審査は公平でなければなりません。自分の好き嫌いで審査をしてはいけません。 今年の審査も、実に苦しかったです。 このコンクールの難関を突破して入賞された皆さん方の作品は、全国に出品しても恥ずかしくない見事な作品ばかりです。各学年の第1位金賞作品は、全国展に出品されますが、今年も全国の中で、良い成績が得られるものと大いに期待しています。惜しくも銀賞、銅賞、佳作になった人は、特別賞に選ばれたのですから、自信をもって進んでください。道は大きく開かれています。 自分の長所を見つめ、それを伸ばすことは非常に大切です。入賞された皆さん方は、普通以上に書く力が身についている人ばかりです。どうか今後も永く書道を続けて欲しいと思います。大いに期待しています。審査員 小森 秀雲−2−
元のページ ../index.html#4